特許第6819997号 スパッド係船設備
本発明はスパッドを落下させる際の位置エネルギ及び浚渫作業中に稼働する船体側発電機の余剰電力を回収,蓄積し、これらをスパッド引上げ時に活用して省エネを図り、さらに船体側発電機の余剰電力によって浚渫機の巻上を直接アシストできるようにして、浚渫機のエンジン及び船体側発電機の小型化を可能にする技術です。
船を海上に固定する係船設備としてスパッドがあるが、大型浚渫船の場合、その長さが約40m、重量は70トンに達し、それらが3本〜4本装備される。浚渫船の場合スパッドによって移動しながらの作業であるため、スパッドの昇降頻度は一日に100回以上に上り、使用されるエネルギが桁外れに大きくなる。
従来はスパッドを落下させる際の位置エネルギをブレーキライニングで摩擦熱、または油圧回路の絞り弁により熱エネルギに変換し大気中や海中に捨てており、また船体の移動作業及び固定作業を終えたスパッド装置の動力源である発電機は次の移動に備え運転を継続する為、ここにも大きな余剰電力が発生すると共にエネルギを無駄に消費していました。
本発明はそれらを回収、蓄積し、スパッド引上げ時に活用して省エネを図ると共に、発電機の余剰電力を直接浚渫機の巻上に利用することにより浚渫機のエンジン及び船体側発電機の小型化を可能にする技術です。
特許第6590741号 浚渫機及びこれを用いた浚渫方法の発明
本発明は新しいコンセプトのハイブリッド浚渫機に関するものです。 グラブバケットを用いた浚渫作業において、エンジ ンへの負荷は作業の段階によって大きく異なります。
≪バケット下降→着底→バケット閉鎖→地切り→巻上→旋回→バケット開放→旋回→≫ と一連の動作中で一番エンジンに負荷がかかるのが「地切り」の段階です。
それはバケット重量+内容物(浚渫土砂)重量+それらの慣性力、海底の吸着力がかかるからです。 一般に30立米クラスの浚渫機に搭載されるディーゼルエンジンは2500馬力と強力ですが、
この大出力は地切りに必要な出力であり、言い換えればそれ以外には必要のない出力です。 浚渫深度にもよりますが、作業中の数秒、巻き上げ工程を含めても1サイクル中の4分の1以下の時間でしか必要のない出力です。
しかしそのエンジンは作業中常に定格回転数で運転されます。 この様に各作業段階において必要なエンジン出力が一定でないのに一定回転数で運転されているエンジンは負荷が少ないときにも
一定量の燃料を消費しています。 燃料消費量はエンジンへの負荷によって変化します。ある一定の負荷以上では燃料消費量にほとんど変化は見られませんが、
負荷が50%を切ると急激に出力当たりの燃料消費量が増加します。
本発明はエンジンをこの高燃費効率域で運用し、
その際の余剰出力によって油圧ポンプ(電気式の場合は発電機)を駆動、
アキュムレータと呼ばれる蓄圧装置に油圧を蓄圧し(電気式の場合キャパシタやリチウムイオン電池に蓄電)、
地切りや巻き上げ時等、高負荷がかかる時にその蓄圧された油圧を使用し油圧モータ(電気式の場合モータ)によって巻き上げをアシストします。
発明を使用すると浚渫機に搭載するエンジンを出力の小さいものへ変更できるうえ、
エンジンにかかる負荷を平滑化することができるので負荷変動による黒煙(Nox.PM)の発生を抑えることができ、低燃費と環境性能向上を両立できます。
また浚渫作業では一連の浚渫を終えると「登り」という船体の移動作業があります。
船体の移動にはスパッドという係留装置やウインチを使用するのですが、それらは船体側に設置された発電機によって駆動されます。
しかしその船体移動が完了すると船体側発電機に大きな余剰電力が生じます。それを利用し、
電動油圧ポンプによって油圧を蓄圧することが可能であり、現在浚渫機側エンジンで駆動されている旋回モータ等の油圧機器をこの油圧で駆動するようにすると、
浚渫機のエンジンをさらに小出力のものへ変更できる様になります。
またバケット降下時のバケット重量の位置エネルギも油圧ポンプを追加することにより回収が可能で、
それらを併用することにより、さらに省エネ効率を上げることが可能です。
特願2002-227505号 海底耕耘機「シーマグワ」
一般に海底は、新鮮な海水にさらされた酸化状態の酸化層と、酸素不足で還元状態になった還元層に大別されます。酸化層は貝やカニなど多くの底生生物の住処となっており、好ましい状態です。しかし、波や海流などによる物理的攪拌が少なく固く締まったり、黒い硫化水素(ヘドロ)が溜まるなどの原因でできた還元層は、多くの生物にとって有害なので、生息できる種類も限られています。近年、沿岸域の漁場環境が悪化し、漁場としての効用の低下が問題となっているのも、この還元層が広がってきているからです。そこで、我が社は、固く締まって酸化層の薄くなった海底を耕耘することにより、酸化層を増大し、漁場環境の改善を行うと同時に、海底に堆積したゴミを回収・清掃・保全を図ることを目的とした、曳船型海底耕耘機「シーマグワ」を開発いたしました。
■特徴
1 水深に関係なく作業ができます
2 GPSにより正確な施工が出来ます
3 大小を問わず海底の堆積物を除去することが出来ます
4 耕耘爪を替えることにより耕す深さが調整できます
5 耕耘と堆積物除去が同時に広範囲で行えます
■構造
「シーマグワ」は、幅10.4m、長さ2.7m、高さ0.57m、重量約2.7tの鋼鉄製で、大きく分けると前部に位置する「耕耘部」と海底堆積物を収集する「バケット部」より構成されています。
■施工効果
調査箇所: 平成14年に底質改善した三重県明和町沖合
調査項目 |
改善前 |
改善後 |
底質分析
強熱減量 I L
化学的酸素要求量 COD
全硫化物 T−S |
7.00%
15.4mg/g
0.26mg/g |
4.50%
12.1mg/g
0.008mg/g |
粒度組成
粘土・シルト分泥質比率 |
71.60% |
35.20% |
底生生物
粘土・シルト分泥質比率下降箇所
粘土・シルト分泥質比率無変化箇所 |
|
2種類増加
変化なし |
特開2004−068355 海底耕耘による海底堆積物採取装置
言わば海底を耕す海底耕耘機です。
曳航される事により前部に取付けられた耕耘爪が回転し海底を耕します。
海底土壌を耕す事により新鮮な海水を土壌中に送り込み、貝などの底生生物にとって棲みやすい環境を作り出します。
また耕耘と同時に海底のゴミや海産物に有害なヒトデ類も回収出来るのもセールスポイントの一つです。
回収されたヒトデ
陸上で処理され肥料の一部にされます
特開2003−026084 昇降装置付操作室を備えた押船
一般的に港湾工事に使用する起重機船や浚渫船、浚渫土砂を運搬する土運船等は
自分で移動する手段を持っていません。
それらを移動する際、活躍するのが押船です。
押船は対象物の後ろ側から押すので前方視界が悪くなります。
その為、押船はヤグラによって操舵室を高く上げるのが一般的ですが、
独船(押船単独)での航行時に高重心に起因する乗り心地の悪さが問題となっていました。
この昇降装置を装備すると、単独時には操舵室を低く、他の船を押す場合、
それに合わせて操舵室を高くと、その押す対象物の高さに合わせて操舵室の高さを変更できるので、
独船時の低重心と押航時の好視界を両立できます。